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謡曲
花月 〈次第〉風にまかするうき雲の〳〵泊りはいづく成らん、〈わき詞〉是は筑紫彦山の麓に住居する僧にて候、我俗にて候し時、子お一人もちて候お、七歳と申し春の比、いづく共なく失ひて候程に、是お出離の縁と思ひ、加様の姿と成て諸国お修行仕候、〈◯中略〉 〈して〉扠も我筑紫彦山にのぼり、七つの年天狗に、〈上同〉とられてゆきし山々お、思ひやる社かなしけれ、〈◯下略〉