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上野名跡志
初篇下碓氷郡
廻国雑記に、いまは世に煙おたえて、信濃なる浅間が岳は名のみ立けり、とよめるお思へば、文明の頃は煙のたえし事ありしにや、近き大焼は、天明三年七月なりき、富士焼の事は、国史にあまた見ゆれど、浅間焼の事は見あたらず、日本書紀天武天皇白鳳十四年、灰零於信濃国、草木皆枯とあるも、浅間より降しなるべし、〈此事は上信日記、信濃地名考等にもいへり、〉