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塩尻
四十一
信州浅間山は、昔より焼て、歌にもよめり、今冬享保七壬寅十月十日比より、烟り立し、十三日より大きに焼侍る、神無月廿六日の夜より、東都灰砂ふる、〈是は山の灰なり、先年富士山焼し時の如し、但し砂は白き方也、〉是より地鳴動する事火しとなん、上州沼田城辺の人は、人心地もなく侍りしとかや、〈賢按、其後又天明三卯七月焼出し、関東砂降申候、〉