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好古日録

浅間山 天明三年癸卯七月、信濃国浅間山の火坑大に焼く、烏雲天に覆ひ、炎気空に接す、震響千里、京師の人家、窓戸此が為に動揺す、巨巌大石砂土の焼る者、ともに数里の外に漂散し、田畠皆焦土に埋る、火坑土泥お湧出し、吾妻河、及利根川壅塞して、水流絶え、河辺に連る村落土泥に埋み、死傷溺死之人類牛馬其数おしらず、