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西海紀游

一霧島山〈いざなみの命いざなぎの命〉両御神立給ふ、天のさかほこあり、高さ八尺程出る、四角也、かく四寸ほどあり、ゆるぐなり、青さびにて唐かねのやう也、うてば鳴る、かねのおとなり、山上へふもとより二里ほど登る、大難所なり、硫黄谷あり、年中火燃る、馬の脊こへ、風あれば上られず、まはりの小石、参けいの持あがりてつむ、又山上に木なし、草原なり、外の草あらず、みなにんじんなり、