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林は、生(はや)しの義、即ち樹木おして蕃殖せしむる地お謂ひて、主として平坦の処お指せるものの如し、太古素盞嗚尊父子の、意お殖林に用い給ひしは、蓋し我国に於ける林政の初見なるべし、徳川幕府時代に至りては、此事漸く盛にして、学者の之お論ずるものも亦多く輩出せり、 杣は、我国の製字、之おそまと訓ず、そまとは、蓋し山中に樹木お殖えて材お採る処の名なり、故に採材の人おそまびと、又単にそまとも雲へり、