[p.0926]
農政本論
中編中
野年貢、野役米、野手米永、草役永、 此は平原壙野に段別お請て、他村おも入会などして、秣、柴、萱等お苅採り、年貢お上納するお雲ふ、或持主お定めたるもあれども、野方は多分持主なく、総村持なる者也、総て野原にても野山にても段別お著て、米永何程取と定りたるお、野年貢と雲ふ、草年貢と唱るも即是也、又段別のなきおば野手、米永、或野役米と雲、何れも皆小物成なり、野手、米永は野原等総村持にして、野手お上納して、馬草、柴、萱等お刈取り、又広きは他村にも草札お渡し置き、米永お納させて入会にするもあり、野役米は荒野他村と境界の分明ならざるお以て、後に争論起らんことお慮り、証拠の為に役米お上納する等なり、草役米は野役米同事にて、名目の変りたるのみなり、又野高と称して、村方の内に入れてある類は、田畑同様にて、本途の物成お納むる也、若又新規に役米永お申付ることあらは審に能広狭お量り、且又其近隣お見合せ、村方と対談吟味の上にて申付べし、草代と唱るも即此と同事にて、或は他村に馬草柴萱お刈せて、代米永幾程と極め、他村より上納させる類お草役と雲なり、