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北国紀行
武蔵野の東の界忍岡に優遊し侍、鎮座社五条天神と申侍り、おりふし枯たる茅原お焼侍り、 契り置て誰かは春のはつ草に忍びの岡の露の下もえ 並びに湯島といふ所有、古松遥かにめぐりて、しめの内に武蔵のヽ遠望かけたるに、寒村の道すがら野梅盛に薫ず、これは北野御神と聞えしかば、 忘れずば東風吹むすべ都まで遠くしめのヽそでの梅がか