[p.0949]
桃源遺事

一下総国葛飾郡小金の原〈常陸への道なり〉渺々として旅人道に迷ふ事あり、況や雪のあした雨の夕はさら也、西山公此事お不便におぼしめし、道の並に松お数千本御植えさせ候、又同国法華宗の談林香取郡飯高并中村への道に、印幡郡酒井原及び根木名原とて、香取郡東佐野村までつヾき、行程四五里ほどの広野あり、一とせ西山公此所お御通り御覧被成、是又旅人の道にまどはんことお思しめし、道の並松多御植させなされ候、又香取郡高萩の原〈行程三里〉へも右の覚しめしにて、松おほく御うえさせなされ候、