[p.0964]
藻塩草
三地儀
牧 おのヽみまき〈ひたち、露草のうつればこまのつまぞありける、〉おふちのみ牧〈奥州、おふちのこまも野かふにはあれこそまされなつくものかは、〉いえしまのみ牧〈これ累代の牧也、八雲御説、〉くろこまの牧〈八雲御説〉ほさかの牧〈八雲御説〉おくの牧 もちづきの牧〈しなの、八雲御説、〉みづのみ牧〈山城、五月雨、まこも、〉あらのヽ牧〈奥州、こまなれ行ものお、〉すヾのみ牧 たちのヽ牧 きりはらの牧 珠洲み牧〈のと、こまふる野、〉鳥養御牧〈つの国、おきつなみたかせのふねおさしすへてとろかひにてもくらしつるかな、〉へみのみ牧 小がさ原みづのみ牧〈おがさはらみづのみまきにあるヽむまもとればぞなづくこの我袖とれ、顕昭雲、これはたヽみね十体中に、古歌体の歌也、おがさ原は、かひの国也、みづのみまきは、山しろ、よどのわたり也、かくのごとくよみつヾくべからず、しかれば証歌にば、おがさ原へ、水のみまきと侍り、へみは、かひの国のまきの名也、のういん歌枕雲、へみのみまきとは、へみににたるいろある麻のおふるがゆへに雲也と雲り、しかるお、ほり河の院百首、前武衛顕仲が春雨の歌にも、おがさはらみづのみまきとよめり、付此ひが事か、又奥義抄にも此定にひけり、もつとももつていこん也と雲々、〉