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藻塩草
五水辺
井 石井〈山城中御門の南、東洞院西江別有、同名相坂、但志賀の山也、〉いさら井〈未勘〉いはしろの井〈紀州〉いづみ井〈備中〉五十師御井〈伊勢 山かげのいそしのみいはおのづから錦おおりてはるヽ山かも、〉稲井〈同右 なはしろの水はいな井にまかせたる民やすげなる君が御代かな、〉走井〈近江、あふさか、夕かげの駒かけひ、伊勢に有同名、それにはみゆき浦さびて、〉堀難井〈武蔵入間郡、うれしく水のちかづく、〉常盤井〈城州春日南京極東〉小塩井〈紀州、但いせと雲説有、いせ外宮にあり、天村雲の尊、天に登て天の河の水お玉鉾に入て下て、是おかつして、置給お忍穂井と雲也、是にて外宮の供御お備る也、不増不減の水也と雲々、 おしほいおけふ若水にくみそめて御あへたむくる春は来にけり此歌も其心歟、又此御あへとは、〉追都美井〈いせいと〉大回山井〈あふみ、昔ながらの〉興井〈奥州物の名にかくせり〉忘井〈いせ わかれゆくみやこのかたの恋しきにいさむすひ見んわすれいの水、〉鴨井〈三条南町東鴨集故也〉亀井〈摂州有天王寺、万代にすめる亀井の水、にごりなき法浮木白石と尺のお河おそへたり、〉玉井〈山城、又近江、氷、千とせおかねてむすぶ、納凉、松山、吹やどのかざし、玉のいと、のヽ字ありても、〉竹原石井〈大和竜田の山、五月雨の比、〉玉かげの井〈近江〉たる井〈美の 昔みし〉〈垂いの水はかはらねどうつれるかげぞ年おへにける〉田中井戸〈紀州山吹〉堤井〈 すヾがねのはゆるうまやのつヽみいの水おたまつないものたヽてよ〉なか井〈備中〉ながらの山の井〈近江、八雲御説、しづめるかげ、〉山井〈山城三条坊門北京極西、又奥州同名あり、あさか山也、又江州に同名有、昔ながらのむすぶ手のしづくににごるの歌是なり、〉山辺のみ井〈伊勢、神のいせの乙女ら、〉増井〈丹波 凉しさおますいの清水結ぶ手に先かよひくる万代の秋、〉真間井〈下総 かつしかのまヽのいみれば立ならし水おくみけん跡お恋つヽ、〉松井〈ぴつ中、或雲丹波、 とおはなる松井の水おむすぶてふしづくごとにぞ千世はみえける、〉飛鳥井〈山城、みまくさがくれ、いくよねぬらん、駒、蛍、みつにくむ、在所は二条万里小路、〉あさりのいは井〈奥州〉懸井戸〈一条北東洞院西角、又号井戸殿、蛙、山ぶき、こなき、杜若、藤、〉天橋立井〈山城六条南室町東輔親卿宅是宗祇法師注、〉佐良し井〈きの国 みくるすのなかにむかへるさらしいの絶ずかよはんそこにつまもる、雪、蝉、このもと、〉さめが井〈あふみ、うき世の夢、水、〉盃井〈下総 東路にさしてこんとは思はれどさかづきのいにかげおみるかな〉さくら井〈未勘〉埴科石井〈信濃、てこ、〉湯津留波御井〈大和 いにしへにこふるとりかもゆづるはの三井のうへよりしまわたりつヽ、時鳥、〉三吉野山井〈同右、又雲、吉野山井共雲、つらヽ、むすべばや花の下ひも、おそくとく、〉みやこ井〈信濃〉三井〈あふみ、園城寺、心のそこにすみまさる月、〉滋野井〈中御門北、西洞院西、〉芝付田井〈常州、尾花、薄、〉榎葉井、〈大和、豊浦寺にあり、〉せか井〈山しろ、大原、八雲御説、是清和井、〉せきのいは井〈あふみ、是あふさか歟、〉