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越前国名蹟考
五足羽郡
福井庄〈十村〉 福井、富久居、当社荘北之故、此謂曰北荘、〈足羽社記〉素良按ずるに、昔は北庄と称す、寛永元年甲子七月十九日、宰相忠昌公御入部の砌より福井と改らる、福井はもと足羽神殿にまします所、五座の神の其一座にして、古訓はさくい、祝詞式などには栄井(さくい)とも書きたり、然れども俗間にて訓みやすきに従ひふくいと唱ふ、今御本城天守台の上に福井と雲名水あり、是則神名に拠て名付るなるべし、此井の在所、御本丸となれるより、地名も福井と改められし事ならむ、