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源平盛衰記
二十三
木曾洛中狼藉事 去程に源氏世お取たり、とても其ゆかりなからん者は、指せる何の悦か有べきなれ共、人の心のうたてさは、平家の方の弱きと聞ば悦、源氏の軍の勝と雲おば興に入て悦合けり、さはあれ共、平家西国へ落下給て後は、世の騒に引れて資雑財具(○○○○)東西に運び隠、京白川にもて吟ければ、引失者も多、深き井中に入(○○○○○○)、穴お堀て埋などせしかば、打破朽損じて失しばかり也、