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日本鹿子
八
同国〈◯近江〉名所之部 醒井 岩根よりわき出る水也、東より南へ流たり、石地蔵水の中にたち給也、此井おさめが井といふことは、むかし日本武のみこと、東夷征罰し給ひし比、当国伊吹の山に入給ひしに伊吹大明神大蛇と現じ、道の中にわだかまりしお、尊とびこへ給ふとて、御足すこし大蛇のひれにあたり、それよりいたはり給ひ、大ねつきさしけるお、道のほとりにありける清水に、御足おひたし給へば、そのまヽねつきさめけりとなん、さてこそ此名はありけるといへり、汲て知人しもあらば醒井の清き心おあはれとやみん