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有馬山温泉記
此地温泉は、たヾ一所あり、其間板おもつてへだてヽ二所とす、南お一の湯とし、北お二の湯とす、湯入の客の宿する家二十坊あり、寺にはあらずといへども、坊の名あり、其内一の湯に十坊、二の湯に十坊有、御所坊は秀吉公入湯し給ふときの御宿なるゆへ名付とかや、湯お守るものは皆女なり、湯女と雲、湯浴の人および、湯の出入おつかさどる、一坊に老若二人あり、廿坊に凡四十人あり、