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東海道名所図会

走湯山〈三島より南六里許にあり、走湯権現山嶺にあり、伊豆御山と称す、頼朝卿蛭小島に於て、法華経書写千部の願望ありしに、出陣急になりしにより、八百部走湯山に蔵めらるヽ事、東鑑に見へたり、本社壮麗也、石階お昇る事三町にして山頂に鎮座す、別当お般若院と称す、◯中略〉滝之湯〈二町許山下にあり、巌洞より涌出して海岸に流落る、其疾事矢の如し、故に走湯の名あり、 滝は二所に、一は浴室ありて、諸人こヽに浴す、〉