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類聚名物考
地理三十五
七久里湯 なヽくりのゆ 信濃〈一雲〉伊勢〈◯中略〉 今案に、信濃国人の雲、今名目栗(なめくり)といふ村有、湯の所といふ、今は湯出ずといへり、伊奈郡の中なりといふ、猶可考、〈◯中略〉 契冲名所補翼抄に雲、六帖に、かみつけやいちしの原とよめり、此二首いちしなると有れば、此湯もしそこに有にや、〈此湯は信濃とて出せり〉或人雲、伊勢国一志郡に出湯有り、今は榊原の湯と雲ふ、此所歟、俊綱歌に、かひなきと読たるは、榊原の湯の辺の山より、石貝とてさま〴〵介のかたなる石出れば、夫およめる乎、