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東路の津登
きぬ川、中川などいふ大河ども洪水のよしいへば、こヽにいつとなくやすらはんも益なし、草津湯治遅く成ぬべし、さらば立帰りねと定まる、〈◯中略〉新田の庄に、大沢下総守宿所にして、草津湯治のまかなひなどに六七日になりぬ、〈◯中略〉大戸といふ所、海野三河守宿所に一宿して、九月十二日に草津へ著ぬ、同行あまたありしまで、馬人数多く、懇切の送りども成べし、廿一日、草津より大戸へ帰り出侍りぬ、兼約とて一座興行、 時雨かは紅葉の中の山めぐり