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宗祇終焉記
おなじ国〈◯上野〉に伊香保といふ名所の湯あり、中風のためによしなど聞て、宗祇はそなたにおもむきて二かたになりぬ、此湯にてわづらひそめて、湯におるヽ事もなくて、五月のみじか夜おしもあかしわびぬるにや、いかにせむ夕告鳥のしだりおに声恨むよの老のねざめお