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東遊雑記
二十五
平より南一里、湯本の町、大概の所なり、此地には温泉数多にて、家々に湯壺有り、入湯せる人も多く、湿瘡毒に功有る湯也、当国名所記に、大納言師氏、 夜とヽもになげかしき身お陸奥の三箱(さはこ)の御湯といはせてしがな 此名の事なるや、未詳といへども、外に名づくべき温泉の所なし、