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東遊雑記
十九
浅虫、御昼休になる、此所は、青森より三里といへども、大に遠く、此地海浜にのぞみて温泉有り、至ての熱湯にて、湯壺より流れ出る湯川々へ落て、湯気の立上る事烟のごとし、すべて津軽の地には、温泉あまたにして、別て岩城山の麓に多く、何れも上方中国筋の如く、功能のある湯にはあらず、