[p.1084]
四方の硯

枕草紙に、温泉の名どころあつめたるところに、玉造の湯、春曙抄に、其地未詳とあり、家翁、出雲の太守より、彼国産玉造といふところの石お賜りぬ、かの国の門人いふ、其地山川清雅にして、温泉ありて、隣国よりも、病客あつまりゆあみしぬとなん、清少納言は博聞にて、国はしの名どころもくはしかりしぞとおぼゆ、