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河海抄
二空蝉
いよのゆげたも、たど〳〵しかるまじうみゆ、 伊与のゆのゆげたはいくついさしらずや、かずへずや、かずへずよまずや、そよや、君ぞしるらんや、〈雑芸、伊与湯、〉 温泉記雲、予州温泉者、其勝冠絶於天下、其名著聞人中矣、累々出自山頭、潺々逮于海口、中底白砂潔、四隅青岸斜、朝宗是幾許、辞海二三里、観其温泉、上下区以別焉、以卒貴賤不混誑故也、上則構廊宇、開戸牖、其裏備屏息居閑之具、下亦左岩右岸、樹其間虞(そな)陰(へたり)風陽日之気、由是来者無憚、浴者有便、〈以下依繁略之〉与州あおしまの渡の潮中にあり、湯のまはるけたのかたち七なみ、七十七段也、 〈風土記〉けたの数五百三十九歟雲々、〈素寂説〉