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但州浴泉記
寛政庚申の春のころ、予聊なやむ事ありて、但馬の国城崎郡なる温泉に浴せんと志し、其あらましお書付て、閣老織田氏の庁に出て願ければ、早速東都へ上聞ありて御ゆるしお蒙り、四月六日の夜戌の刻計に、平野随意、塩原我忍の二子お伴ひ、納屋橋のむかひにて亀屋喜兵衛なる者の所に行、〈◯下略〉