[p.1113]
熱海温泉図彙
浴法〈ゆあみのしかた〉 温泉に浴して病お治するは、薬お服するに異ず、ゆえに其度にかなはざれば功お奏しがたし、初てゆあみする人、第一日は朝夕二度あつきとぬるきとは心次第なれど、はじめはあまりあつきに入べからず、入んとする時、まづ顔おそヽぎ、からだおしめし、さて湯に入りて、いたむ所ある人はその所おもみなどして、総身あたヽまりたる時湯おいで、からだおさばし、再びざつと入りてあがるべし、是お一度の入湯とする也、第二日は食前三度、第三日は食前三度、臥す時一度、第四日同じ、第五日は夜昼六度、〈ひる四度、よは二度、〉第六日第七日同じ、右七日お一まはりといふ、一と廻りにて病ひ動くもあり、湯の利たる也、次の一まはりにて病お療治し、又の一まはりにて病お補ひ、気血おとヽのひ、支体お健にす、