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温泉小言
一およそ温泉の功は、陽気お宣通し、留淤お化導し、肌体おあたヽめ、関節お利し、経絡お通じ、気血おめぐらし、一切の淤血お破り、穢淤邪毒お排托し、壅滞おめぐらし、寒おのぞき、湿おさり、積聚、疝癥、むねはらわきなどの冷痛むる、腰脚などのだるくしびれいたむる、手足筋骨のひきつり、のべかヾみかなひがたき類、脚気、うち身、くじき、一切の傷損、下疳、便毒、諸痔、脱肛、淋疾、楊梅、瘡毒、結毒、疥癬、〓瘡、紫白、癜風、并に金瘡のいえんと欲していへかねる類、婦人の血積、淤血、経行不順の症、滞下腰冷、下部一切の病、これらの諸病はいづれも温泉によろし、 一又温泉によろしからざる病は、気血虚損、労巻不足の諸症、もろ〳〵の失血後、津液の乾燥たる病人、脾胃虚労咳の類は、もとより論ずるにおよばず、邪熱虚熱ある人には甚あしヽ、病おそへてあやうきにいたる、つヽしみて浴すべからず、無病たり共、生質はなはだ虚弱の人亦浴すべからず、