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類聚名物考
地理三十五
しほ湯 摂津国潮湯 散木集〈に〉津の国にしほゆあみにまかりて、月のもりいりたるおみて、あしのやのあれまおわけてもる月お涙の床にやどしてぞ見る、 今按に、塩湯は有馬歟、又古へ難波の潮おあみしおもいひしか、知るべからず、夫木抄、慈鎮和尚、誰か聞難波の塩のみつなへに田箕の島の鶴の諸声、とも読たれば、難波の潮にてもや、田箕島は西生郡にあり、夫木抄〈二十五〉九月ばかりに長居の浦といふ所に、塩湯あみに出て、住吉の長いの浦もわすられて都へとのみいそがるヽかな、夫木抄巻未考、源兼昌、わたつ海のはるけき物おいかにして有馬の山に塩湯出らん、