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大鏡
三太政大臣頼忠
ひとヽせ入道殿〈◯藤原道長〉大井川の消遥せさせ給ひしに、作文船、管絃船、和歌船とわかたせたまひて、その道にたえなる人々おのせさせ給ひしに、此大納言殿〈◯藤原公任〉のまいり給へるお、入道殿かの大納言、いづれの舟にかのるべきとの給はすれば、わかのふねにのり侍らんとのたまひて、よみ給へるぞかし、 おぐらやまあらしの風のさむければもみぢのにしききぬ人ぞなき