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東遊雑記

最上川は、世に早川の大河と沙汰せる事ながらも、みなもと遠からず、清水清川及び此所迄の流お見て、諸州の大川にくらべて予が考お記す、第一山城国淀川(○○)、第二武州刀禰川(○○○)、第三は土州四万十川(○○○○)、第四富士川(○○○)、天竜川(○○○)、最上川(○○○)、第五石州よしの川(○○○○)、九州筑後川(○○○)、阿波の相川(○○)なるべし、いまだ予が見ざる所の川に、越後の信濃川(○○○)、当国御物川(○○○)、奥州の北上川(○○○)、阿武隈川の末なり、奥州の川は頓て見る事なれば、後巻に記すべし、予地理の道お好む事ひさし、しかれどもいまだ委しからず、見る人信ずべからず、