[p.1172]
伊勢物語

なおゆき〳〵て、むさしの国としもつふさの国とふたつがなかに、いとおほきなる河あり、その河の名おばすみだ川(○○○○)となんいひける、〈◯中略〉しろき鳥のはしとあしのあかきが、しぎのおほきさなる、水のうへにあそびつヽいおヽくふ、京には見えぬとりなれば、みな人みしらず、わたしもりにとひければ、これなむ都鳥と申といふおきヽて、 名にしおはヾいざことヽはむ都鳥我思ふ人はありやなしやと、とよめりければ、舟人こぞりてなきにけり、