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朝倉始末記

加賀能登越中の凶賊乱入越前事 去程に、悪政は生悪気、悪気は生災異雲へば、諸国の悪徒不移時日馳集、加賀の一揆に合掌して、都合其勢三十万、永正三年七月十七日、越前国へ打越へ、九頭竜河(○○○○)北、在々所々お放火して、兵庫長崎辺の村々里々にぞ陣お取る、洪波壑に振ときは、川に閑なる鱗なく、驚飆野お払ふときは、林に静かなる枝なしとて、国中は雲に及ばず、近国隣郡に至るまで、騒がぬ所ぞ無りける、