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倭訓栞
中編十四知
ちくまがは 万葉集に千隈川と見ゆ、信濃国佐久郡より出て、凡そ八郡の水おすべて、六町一里四百三十余里お経て、越の新潟の海に入、よて越の人は信濃川(○○○)といへり、扶桑略記に、仁和三年七月、信濃国大山頽崩、山河溢流、六郡城塁払地漂流、牛馬男女流死成丘といへる、此川なるべし、近く寛保二年八月にも此事ありて、水災六郡に渉れり、溺死のもの数千人と雲、