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十勝日誌
凡例
一とかち、本名とかぷなり、此川口二に分れ、乳房(ちぶさ)の并び無尽の乳汁お出に倣て号し也、とかぷ乳の事なり、余説あれ共総て脞記媵説に距れば記さず、是東部第一の川(○○○○○○)にして、此国の母川とし石狩お父川とす、去箱館百五十余里、〈今従ほろいづみ境びたヾぬんけ、くすり境ちくべつ迄とかちと雲、〉沿海二十三里、山に入事五十余り、拾一け場所に〈くすり、あばしり、ところ、石狩、さる、にいかつぷ、しつない、うらかわ、しやまに、ほろいづみ、〉隣接し、源は石狩に向背し、此度山越せし地お分水嶺とし、土人も時として越たる者有と雖も未だ和人是お試し者、天開地避の後一人有之お聞かず、然るに此度御開拓の命有、某も此山路お試ん事お、余に函館府より命ぜられ、依て余氷雪の上石狩より入、十勝に出て、日誌五巻お著、〈◯下略〉