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続応仁後記

天下大飢饉附後奈良院崩御新帝御即位事 同年〈◯弘治三年〉の八月廿六日に、朝には東風頻に起て、夕には大南風に吹かへ、急雨盆盞お傾たるが如く、蓑笠お打徹し、国々数多洪水す、中にも摂州尼が崎、別所、鳴尾、今津、西宮、兵庫、前波、須磨、明石の浦々え大浪打かけ、高塩さし上げ、浦々の民屋悉く引流され、死亡の者幾千万と雲数お不知ら、去る文明七年八月六日の洪水にも如此有ける由、古老の者共雲合けるが、其よりして今年迄は八十年に当ると雲へり、〈◯下略〉