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木曾路名所図会

裏見滝 此爆布泉、高さ十四五間許、幅二間余、岩窟の間より飛流し、向ふの方へ走る猛獣の勢ひに似たり、傍より巌々たるおつたひて道お下れば、かのさし出たる岩窟の本にいたる、此飛泉おうらより見るによつて名とす、上に荒沢不動明王立給ふ、凡天下に飛泉多しといへども、うらより見る滝はこヽに限るなり、範希文が廬山の滝の詩に、白虹澗に下て飲、寒剣天に倚て立とは、此あたりの事なるべし、