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諸州めぐり

ふかうの池(○○○○○)は、深野池とかくと雲、本名は茨田池(○○○)と雲、池の広さ、南北二里、東西一里、所により東西半里許有、湖に似たり、其中に島あり、三けと雲村有、故に此池お三けのおき共雲、三ヶの島に漁家七八十戸あり、田畠も有、此島南北廿町、東西五六町有と雲、此池に、鯉、鮒、鯰、はすわたかえび、鰻、鱧、つがに等多し、漁舟多し、日々舟に乗て漁し、魚お大坂にうる、又蓮多し、芡実多く、葦多し、皆取用てたすけとす、殊に菱猶多し、是お採て飯にし、糕にし、粥にして粮とす、或菓子にもする、又売て資とす、菱お取日は定日あり、里民雲合せて群出、一人にて妄に取事お禁ず、菱に賦税はなし、又此島より漁人共舟にのり、陸に渡りて田おも作なり、