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ねざめのすさび

不忍池 大江戸東叡山の下にあり、この池お不忍の池とこヽろえたるは誤なり、しのばずの池は、すなはちしのぶの池なり、ふおのべて、はすとはいへるなり、〈こはいみじき強説なり、安昌別に考おけり、〉茂睡翁の鳥の跡といへる書にいはく、あるひとのいふ、しのばずの池は、しのぶが岡につきたる池なる故、しのぶが池也、それおしのばずといふは、は文字お父とし、す文字お母として、かへしお見ればふ文字也、不忍の池にはあらず、忍が池なりといへりとしるせり、