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倭訓栞
前編三十美
みづうみ 倭名抄に、湖およめり、水海の義也、古へ淡海といへり、近江の湖お琵琶湖といふは、其形の似たる也、海東諸国記に、崇神天皇元年、開近江州大湖といふは、我邦此説ある事久し、もとより妄也、読書管見に、南方止水深闊通謂之湖、北方止水深闊謂之海子と見えたり、西湖の如きは、船の往来する河也といへり、石花の海は、万葉集長歌に見ゆ、駿河国富士山の戌亥の隅にある大湖也、猪苗代の湖は、陸奥国若松の東笹山近き所也、共に近江に続ての大湖也、