[p.1238][p.1239]
千曲之真砂

すわ(諏訪)の湖并ころも(衣)が崎 烏丸殿丙寅の紀行にも、はこねの峯より見る湖よりはひろく長く、四方かぎりくまもなく見ゆ、近江の湖には及ばざれど、なか〳〵見渡し、島もなくいさぎよく湛へたるは、近江よりげにぞ覚ゆると書給へば、城の湖へつき出したるさまは、いとおもしろく筆に及び難し、又衣が崎といへるは、高島の城の大手お入れて、二の門の橋おえとのはしとなんいふ、其橋のむかふへ富士の影湖水へうつる、海上の風景いわんかたなし、そのむかふなる崎お衣が崎とも、これもが御崎ともいへり、