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日光山志

南湖 中禅寺の湖水と唱ふるものなり、第一の大湖にして、凡東西三里余、南北凡一里余、又八功徳池と名附ることは縁起にみえたり、凡山腹山止に四拾八湖有となん聞る、されど其在所も定かに知れるものなし、大師の記文に載たるが如く、眄坤更有一大湖、冪計一千余町雲雲、清潔なる冷水ゆえ鱗虫も生ぜず、一点の塵芥もなく、常に白波汀浜に湛へ、旱年又は霖雨にも不耗不溢、そのかみ神護景雲元年、勝道上人遊覧せられしより、今も猶現然として奇観なる大湖といふべし、