[p.1246]
下総国旧事考
十二古書地名考
稲穂湖、和名抄印播郡印播郷とあれど、訓注なき故に、文字のまヽに今の世いんばと雲へど、和名抄の訓例お考るに、因幡国は伊奈八、遠江国引佐郡は伊奈佐と訓注あるなど、皆いんおいなに用ひたり、伊勢国員弁郡も為奈部とあり、是もいんおいなにに用ひたり、此例にて印播にいなばなること疑なし、夫おいなぼと訛りたるなり、ばとぼは通音なれば転語したるなるべし、此沼はいと大きく、印幡埴生の二郡にかヽれり、