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鹿苑院殿厳島詣記
六日〈〇康応元年三月〉御舟いでヽ、〈〇中略〉まいのす、つちのとなとヾいひて、かたき所々、いまぞとおらせ給、此所はしほのかなたこなたに行ちがふめり、宇治の早瀬などのやうなり、しほの落合て、みなはしろく流れあひて、しほさい早くのぼればくだるなり、稲舟ならましかば、さほとりあへじかしとみゆ、つちのとといふは、大づち、こづちとて、島山ふたつ北南にならびたるあはひおとおるせとなるべし、早しほ(○○○)におし落されじと、舟子ども声おほにあげて、こぎなめたり、