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催馬楽入文
律 伊勢〈海〉〈一段、拍子十無空拍〈子〉〉いせのうみの、いせのうみのきよきなぎさの、しほがひに、なのりそやつまん、かひやひろはん、玉やひろはん、 いせのうみのきよき渚に、今按に伊勢の海は清しといひならへり、後撰集に、忍びてかよひ侍りける人、今かへりてなどたのめおきて、おほやけの使に、いせの国にまかりて帰りまできて、久しくとはず侍りければ、少将内侍、人はかる心のくまはきたなくて清きなぎさはいかですぎけむ、続後拾遺に、仁和御時、大嘗会悠紀、伊勢国風俗歌およめる、大友黒主、いせのうみのなぎさお清みすむつるのちとせの声お君にきかせん、など猶多かり、実にゆきて見るに、他国の海よりは清き也、