[p.1293]
北越雪譜
二編一
古歌ある旧蹟 越の湖 蒲原郡に潟とよぶ処多し、里言に湖お潟といふ、その大なるお福島潟(○○○)といふ、四方三里計、此潟に遠からずして五月雨山あり、貫之の歌に、潮のぼる越の湖近ければ蛤もまたゆられ来にけり、又俊成卿に、恨てもなにヽかはせんあはでのみ越の湖みるめなければ、又為兼卿、年おへてつもりし越の湖は五月雨山の森の雫か、