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源氏物語
十二須磨
御舟にのり給ぬ、日ながき比なれば、おひかぜさへそひて、まださるの時ばかりにかの浦につき給ぬ、〈◯中略〉おはすべき所は、ゆきひらの中納言の、も塩たれつヽわびける家居ちかきわたり成けり〈◯中略〉御返かき給言の葉思ひやるべし、〈◯中略〉 あまがつむなげきの中にしほたれていつまですまの浦とながめん、きこえさせんことのいつとも侍らぬこそ、つきせぬ心ちし侍れなどぞありける、