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今昔物語
二十四
小野篁被流隠岐国時読和歌語第四十五 今昔、小野篁と雲人有けり、事有て隠岐国に被流ける時、〈◯中略〉明石と雲所に行て、其夜宿て九月許りの事也ければ、明仏に不被寝て詠め居たるに、船の行くが島隠れ為るお見て、哀れと思て此なむ読ける、ほの〴〵とあかしのうらのあさぎりに島がくれ行舟おしぞおほふ、と雲てぞ泣ける、此れは、篁が返て語るお聞て語り伝へたるとや、