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藻塩草
五水辺
崎 〈此内非水辺もあり、付名所、〉 いほ崎〈下総 まつち山夕こえくれていほさきのすみだ河原にひとりかもねん、うつせ貝、沖つ風、松、こぬみのはま、〉岩崎〈備中 末遠き千世のかげこそ久しけれまだ二葉なりい〉〈はさきの松〉伊かヾ崎〈河内 かぢにあたるなみのしづくお春なればいかヾさきちる花とみざらむ〉礒崎〈礒さきお漕てめぐれば近江ぢややそのみなとにたづさはぎ鳴〉伊良虞崎〈志摩国志麻郡、ちどり、かもめ、時鳥、玉もかる、そなれ松、なのりそ、塩さひ、〉礒等崎〈神楽にあり、未勘、たいつる、みさごいる、〉いしまの崎〈摂州、八雲御説、〉出崎〈摂州 はりまがたいでさきめぐる夕暮に船子のこえも物あはれ也〉箱崎〈筑前、此箱崎は、昔戒定恵の三学のはこお、彼松原にうづみ給りしかば、箱崎と雲也、筑紫博多、つヾきて、遥にもろこしの海にむかひて、社檀は西にむかひておはしますと雲り、 いく世にかかたりつたへんはこざきの松のちとせのひとつならねば、しるしの松、〉林崎〈伊勢〉はヽこの崎〈三河、或伊勢と雲雲、松、八雲御説、〉星崎〈尾張 ほしさきやあつたのかたにいざり火のほのみしらぬやおもふ心お〉ほのみの崎〈八雲御説〉敏馬崎〈つの国、たづ、千鳥、いるしほ、月、淡路に同名有、 富島崎と書り、又あはぢおよめる歌、しまづたひとしまがさきおこぎゆけばやまとこひしく鶴さはになく、〉雄島崎〈松しまやおしまがさきの夕霞たなびきわたる蛋のたくなは〉岡崎〈山城、秋萩お心に懸て、〉輪田御崎〈つの国、月、都鳥、車舟、 夕づくひわだのみさきおこぐ舟のかたほに引やむこのうら風 くるま舟わだのみさきおかいめぐりうしまとかけてしほやみつらん〉霞崎〈八雲御説、常州、いそな、あまのもしほ火、〉鹿島崎〈常陸、さにぬりのふね、松、月、恋、 うら人も夜や寒からしあられふるかしまがさきのおきつしほかぜ〉唐崎〈近江、大宮人のふねまちかねつ、みそぎ、月、子日、あられ、氷、はまの真砂、松、一本の松、神のみふねおひきかけし、さヽ波、跡たれし神のみゆき、なみの花、おろすなみは、神のうけひくしるし、 よるなみの五の色は緑なる松にぞのこるしがのからさき、長等のふもと也、仍ながらおそへてもよめり、又同名石見にあり、それにはふかみる、玉も、〉金御崎〈ちくせん、しかのすめ神、岩ね、うき枕、聞あかすかねのみさき、ちはやぶるかねのともつヾけたり、〉みほの崎〈雲州、ことしるぬしの神つりしける所、日本紀、八雲御説、〉神崎〈摂州、かみさきのあら礒もみへず波たちぬいづこよりゆかんよき道はなし、〉多枯崎〈えつ中 たこのさきこの暮しげみ時鳥きなきとよめばはた恋めやも、藤、松、〉たか姫崎〈同上 神さぶるたか姫の崎こぎめぐりみれ共あかずいかにわがせん〉たぶしの崎〈伊勢 たつはなのたぶしのさきにけふもかも大宮人の玉もかるらん〉橘小島崎〈山城〉楯崎〈摂州、塩のたヽかひ、〉月出崎〈近江 はる〴〵とくもりなき世おうたふ也月でがさきのあまのつりふね〉つこの崎〈武州、八雲御説、〉子日崎〈たんご はるかなる子日の崎にすむあまは海松おのみ引やよすらん〉難波崎〈摂州 おしてるや難波のさきに引のぼるあけのそほ船〉武庫崎〈同右、月、やどはなくして、〉倚島崎〈同右 住吉のあら人神の舟のへにうしはき給ひつけたまひい島のさきによりたまひ、礒のさきにあらき浪風にあはず、〉野島崎〈淡路、又同名多し、淡路には、 玉もかるおとめお過て夏草の野じまの崎に庵すわれは しほみてば野じまがさきのさゆり葉に波こす風のふかぬ日ぞなき、安房にも有、それは、 あづまぢの野じまがさきの浜風にわがひもゆひし妹がかほのみおもかげにみゆ、又近江にも有、それは なみかくる野島がさきの袖ぬれておばなかたしきねぬる夜半かな、庵さす、千鳥、夏草、〉乎敷崎〈えつ中 おのさき花ちりまよひなぎさにはあしかもさはぎさヾれなみ〉大崎〈土佐、神の小賓、月、〉おぐろ崎〈奥州、みおつくし、ぬまのねぬなは、なみしたき、 おぐろさきみつのこじまの人ならば都のつとにいざといはましお〉茎崎〈摂州、松、又玖岐とかけるもあり、〉岫崎〈するが、松、是同事歟、〉雲津崎〈伊勢しまや月の御舟はよきてふけ雲づがさきの松のむらだち〉欵冬崎〈あふみ口なし〉やらの崎〈ちくぜん おきつ島かもと〉〈いふ船のかへりこばやらのさきもりはやくつげこせ〉八十崎〈同右、たづ、千鳥、〉松崎〈山城、千とせふる、つるのすむ、氷のわたり、〉小松崎〈つのくに、なにはがた、浦さむし、塩みてば、小松が崎に千鳥鳴也、あふみには同名有、鶴およめり、〉心見崎〈あふみなる心みのさき年経てもよし心みぞ人忘るとも〉小島崎〈城州 今もかもさきに、おふらんたちばなのこじまがさきの山ぶきの花〉有礒崎〈越中〉安礼崎〈三河 いづこにも舟とめすらんあれのさき漕出て行たなヽしおぶね〉荒藺崎〈武蔵 くさかけのあらいのさきのかざしまお見つヽや君が山ぢこゆらん 白なみのあらいの崎のそなれ松かはらぬ色の人ぞつれなき〉あらつの崎〈ちくぜん 神さぶるあらつのさきによするなみまなくやいもに恋わたるらん〉さきたまの崎〈武州、八雲御説、〉さての崎〈伊勢 あこし山いほへかくせるさての崎さては人しらのゆめにしみゆる〉清見崎〈駿河 いほ原のきよみがさきのみほの浦ゆたにみえつヽ物思ひもなし、千鳥〉由良崎〈紀伊海部郡 朝ぼらけこぎでしわれはゆらのさき釣する蛋おみて帰りこん いもがため貝おひろふときのくにのゆらのみさきに此日くらしつ、ゆらのみさき共いへり、 ゆらのさき塩ひにけらししらかみの磯のうらみおあへてこかする、きのくにのゆらのみさきの月影の玉よせかへる沖つしら波、萩、上野、鹿、しば船、〉木綿崎〈播州 神のますうら〳〵ごとに漕過てかけてぞいのるゆふさきの松〉三輪崎〈大和城上郡、是非海辺、 くるしくも降くる雨かみわが崎さのヽわたりに家もあらなくに、駒とめて、雪、 みわのさきあら磯も見えず浪立ぬいづこよりゆかんよき道なしに、此歌は水辺也、〉三保御崎〈近江 さヾなみや小松に立て見渡せばみほのみさきにたづむれてなく、この小松、所の名也、又たヾみほかさき共いへり、神社あり、 思ひつヽくれどきかねど見ほがさきまなかのうらお又かへりみつ〉三穂崎〈するが、又出雲同名あり、松原、白つヽじ、月、山ぢうち出て、もろた舟、〉宮崎〈能州 舟とむる岩せのわたりさ夜更て宮ざきの浦お出る月影〉みつ崎〈摂州 みつの崎なみおかしこみこもり江の舟こぐ君か行かの島に なにはがたみつのさきより大舟にまかぢししぬき〉みぬめの崎〈同 島づたひみぬめのさきお漕ぎ行ばやまと恋しくたづさはに鳴、いもとこしみぬめのさきお帰るさに狩してみればなみたくまなし〉みそめの崎〈大和 いもがめおみそめのさきの秋萩はこの月比にちりうすなゆめ〉御輿崎〈相州 かまくらのみこしのさきのいはくらの君がくゆべき心はもたず〉三浦崎〈奥州 しはつきのみうらさきなるねこつ草あひみずあらば我恋めやも〉しでの崎〈伊勢 おくれにし人お思はヾしでのさきゆふとりしでヽすまんとぞ思ふ、御祓、八雲御説に可憚、〉白崎〈紀州 しろさきは御幸あるまで大舟にまかじしげぬき又かへりみん〉澀谷崎〈越中 しぶ谷のさきのありそによするなみはやしき〳〵にいにしへおもほゆ〉白羽崎〈遠江、あふ人の心もしらず、〉絵島崎〈淡路 はりまがたすまの月よめ空さえてえ島がさきに雪ふりにけり〉三崎廻〈万、是非名所、又新撰六帖に、 わたの原みさきこぎまふつり船のはるかになれば心すみけり〉 入海のせとの崎 みなと河すかすの崎 島崎 和田三崎〈摂津 めぐりきぬわだのみさきの車ふねくるしきたびの日数なりけり 車ぶねわだのみさきおかいめぐりうしまどかけて塩やみつらん〉