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麑藩名勝考

桜島 本朝文粋等亦雲向島、武備志同、是麑島に対備するの名なり、桜島といふは、むかし桜花一葉、海上に浮てよりなれる島ゆえ名つけしと雲旧説あり、蓋木花開耶姫の名によりしなるべし、方角集に薩摩の内に収めしは誤なり、 府東海上一里周回七里 山上八分より上は、三条の外路なし、渉るお一里といひ、降るお十八丁と雲、皆九折の嶮阻なり、巓に湖あり、嶺に神祠あり、彦火々出見尊お祀る、又月夜見尊、火闌降命おも配祀すと雲、故に兎お愛して、島民其名お諱て敬謹するものは、月夜見尊お奉祀するが故といふ、