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源平盛衰記
四十五
内大臣京上被斬附重衡向南都被切并大地震事 同〈◯文治元年〉七月九日、午刻大地震なり、〈◯中略〉同き十四日に、弥益震けり、〈◯中略〉天暗光お失ひ、地裂山崩れければ、老少男女肝お消禽獣鳥類度お迷す、こは如何に成ぬる世中ぞやとて、喚叫被厭殺者もあり、被打損人も多し、近国も遠国も、如此なりければ、山崩て河お埋、海傾浸浜石巌破谷にころび、樹木倒て道お塞けり、洪水脹来ば岡に登ても助り、猛火燃近付ば河お阻ても生なん、隻悲かりけるは大地震也、