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傍廂
前篇
五畜(○○)、六畜、
皇朝にて五畜といへるは、牛、馬、犬、猿、雞にて、人の家に畜ひ置きて、人の用にあつれば、産死の穢も、人につぎてあり、されば食ふは甚しき穢なり、外戎の六畜は、牛、馬、羊、犬、豕、雞なり、是は畜ひ置きて、次第に殺して、食料にあつるなり、同じ畜にても大に異なり、たとへば皇朝の五畜は、下人の部屋に住めるが如く、用あれば出でゝ仕へ、用なければやすらひおれり、外戎の六畜は、重罪人の囚獄に置かるゝ如く、遅くも速くも、刑伐に行はれんお待つがごとし、